Dec
13
どうして、日本は、平凡な経済運営ができないのだろう。セオリーどおりの経済運営をするだけで、成長も財政もかなり好転するはずだ。別に、痛みを伴う改革をせよと言っているのではない。むしろ、痛みを伴うような極端は避けろと言っているのであり、常識的なことをするだけなのである。
常識が日本で通らない第一の理由は、財政当局が、実際の歳出規模や税収を仮装・隠蔽するからである。当初予算をアピールするのみで、補正後の歳出規模を説明しないし、意図的に低い税収見通しを立て、自然増収を分からなくしている。そのため、前述のような財政運営になっているとは、誰も意識していない。もし、分かっていたら、とても賛同が得られないような稚拙なものである。
第二に、財政当局が宣伝に使っている「国の借金はGDPの200%」といった話は、巷に溢れ返っているが、肝心の歳出規模の動向や税収の見通しなどは、まったく議論されないことである。財政当局が情報操作をしているとは言っても、少し調べれば分かる事柄である。財政破綻を声高に訴える人は多いのに、極めて奇妙な光景である。財政赤字を憂うのではなく、財政当局への追従を望むかのごときだ。日本の新聞や有識者の責任は重い。
第三に、経済界が、景気回復を望むのではなく、円安と法人減税を求めることである。それらが手に入るなら、日本経済など、どうなっても良いと思っているようにすら感じられる。経済界が景気回復を求めなくなって久しい。内需の成長には見切りをつけ、収益を確保し、輸出と海外投資ができれば、それで十分と考えているのだろう。
………
これらの構図の下では、財政当局と経済界との間に歪んだ結託が生じる。財政当局は緊縮財政と消費増税を認めてもらい、経済界は為替介入や法人減税をしてもらうという関係である。今回の税制改革の過程では、自動車業界向けの減税や補助金が用意されたが、これも同じ文脈で理解することができる。
震災復興の三次補正の際は、財政規律を守ると言って、3000億円の所得税の臨時増税を決めるのに、被災者を雪が降るまで待たせたのに対し、同じ3000億円規模の自動車重量税の減税は、あっさりと決まった。何かと言うと「悪い金利上昇が起こる」という日経も口をつぐむのは、そういうわけである。
問題なのは、こうした取引には、マクロ的な不合理があることだ。財政当局の内需削減は、デフレを促進して円高を招いてしまうし、経済界の法人減税は、税収に大穴をあけてしまう。マクロ経済に無知であるがゆえに、お互いに利益を交換したつもりが、不利益を与え合うという、意図とは反対の結果になる。
無理な財政運営をして、成長を落とし、デフレにし、円高にし、輸出産業を壊しておきながら、一転して、為替介入、円高対策、法人減税でテコ入れすることで、一層財政を悪化させてしまう。戦略目標である成長を見失い、緊縮や増税の戦術ばかりを弄していれば、当然にこうなる。戦略的失敗を認めず、戦術で糊塗しようとして泥沼にはまり、破綻を招くというのは、歴史上で何度も繰り返されてきた。その列に日本も加わろうとしている。 平凡に我慢できぬが人の常 - 経済を良くするって、どうすれば
常識が日本で通らない第一の理由は、財政当局が、実際の歳出規模や税収を仮装・隠蔽するからである。当初予算をアピールするのみで、補正後の歳出規模を説明しないし、意図的に低い税収見通しを立て、自然増収を分からなくしている。そのため、前述のような財政運営になっているとは、誰も意識していない。もし、分かっていたら、とても賛同が得られないような稚拙なものである。
第二に、財政当局が宣伝に使っている「国の借金はGDPの200%」といった話は、巷に溢れ返っているが、肝心の歳出規模の動向や税収の見通しなどは、まったく議論されないことである。財政当局が情報操作をしているとは言っても、少し調べれば分かる事柄である。財政破綻を声高に訴える人は多いのに、極めて奇妙な光景である。財政赤字を憂うのではなく、財政当局への追従を望むかのごときだ。日本の新聞や有識者の責任は重い。
第三に、経済界が、景気回復を望むのではなく、円安と法人減税を求めることである。それらが手に入るなら、日本経済など、どうなっても良いと思っているようにすら感じられる。経済界が景気回復を求めなくなって久しい。内需の成長には見切りをつけ、収益を確保し、輸出と海外投資ができれば、それで十分と考えているのだろう。
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これらの構図の下では、財政当局と経済界との間に歪んだ結託が生じる。財政当局は緊縮財政と消費増税を認めてもらい、経済界は為替介入や法人減税をしてもらうという関係である。今回の税制改革の過程では、自動車業界向けの減税や補助金が用意されたが、これも同じ文脈で理解することができる。
震災復興の三次補正の際は、財政規律を守ると言って、3000億円の所得税の臨時増税を決めるのに、被災者を雪が降るまで待たせたのに対し、同じ3000億円規模の自動車重量税の減税は、あっさりと決まった。何かと言うと「悪い金利上昇が起こる」という日経も口をつぐむのは、そういうわけである。
問題なのは、こうした取引には、マクロ的な不合理があることだ。財政当局の内需削減は、デフレを促進して円高を招いてしまうし、経済界の法人減税は、税収に大穴をあけてしまう。マクロ経済に無知であるがゆえに、お互いに利益を交換したつもりが、不利益を与え合うという、意図とは反対の結果になる。
無理な財政運営をして、成長を落とし、デフレにし、円高にし、輸出産業を壊しておきながら、一転して、為替介入、円高対策、法人減税でテコ入れすることで、一層財政を悪化させてしまう。戦略目標である成長を見失い、緊縮や増税の戦術ばかりを弄していれば、当然にこうなる。戦略的失敗を認めず、戦術で糊塗しようとして泥沼にはまり、破綻を招くというのは、歴史上で何度も繰り返されてきた。その列に日本も加わろうとしている。 平凡に我慢できぬが人の常 - 経済を良くするって、どうすれば